○由利本荘市食料・農業・農村基本条例

平成23年3月25日

条例第9号

本市は、秀峰鳥海山、出羽丘陵の山々に育まれ、日本海に注ぐ子吉川を代表とする清流によって潤される肥沃な大地のもと、先人の英知と努力により水稲を中心に多彩な農畜産物を生産する農業地帯として発展し、私たちは多くの恩恵を享受している。

農業及び農村は、食料の生産だけでなく、林業水産業とともに、水資源や自然環境の保全に寄与し、農村に伝わる文化の伝承など多面的な役割を担っている。

しかしながら、経済の国際化、都市化の進展、食生活の多様化を背景に、農林水産業従事者の減少や高齢化など食料、農業及び農村を取り巻く環境は大きく変化してきている。

このことから、本市の農業及び農村の振興と発展を図っていくためには、私たち一人ひとりが食料、農業及び農村の日常生活に果たしている役割の重要性について理解を深めながら、農山村地域の役割や機能、意義を積極的に評価して振興を図り、都市機能とのバランスのとれたまちづくりを推進しなければならない。

ここに、本市の食料、農業及び農村に関する基本的な理念を明らかにしてその方向を示し、市民、農業者、農業団体及び事業者並びに行政との協働により、基幹産業である農業のさらなる育成を図り、六次産業化など商工業との連携により魅力ある農村を次世代へ継承するとともに、都市と農村が調和した豊かで住みよい地域社会を実現するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、食料、農業及び農村のあり方についての基本理念を定め、市、農業者、農業団体、市民及び事業者の責務等を明らかにし、必要な施策等を定め推進することにより、持続的に発展する農業の確立並びに都市及び農村が調和した豊かで住みよい地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 食料のあり方についての基本理念は、次に掲げるとおりとする。

(1) 安全で安心できる食料を安定的に生産し供給することにより、食料に対する信頼を確保すること。

(2) 地域で生産される食料の地域での流通及び消費を促進すること。

(3) 食の重要性に対する理解を深め、地域固有の食文化の再評価と継承による食資源の価値化と食育を推進すること。

2 農業のあり方についての基本理念は、次に掲げるとおりとする。

(1) 担い手又はその後継者が育成確保されること。

(2) 自然環境との調和を推進し、農地、農業用水その他の農業資源の保全及び利活用が促進され、自然循環機能を維持増進すること。

(3) 収益性の高い農業経営の確立を図り、地域の特長が活かされた持続的な農業を展開すること。

3 農村のあり方についての基本理念は、次に掲げるとおりとする。

(1) 多面的な機能を活かした生産及び生活の調和が図られること。

(2) 安心して暮らせる生活支援の仕組みが形成されること。

(3) 自然環境並びに地域の営みを資源として地域力が形成され、自然及び人間が共生できる調和の取れた生活・定住・交流の空間として整備かつ保全されること。

(林業及び水産業への配慮)

第3条 食料、農業及び農村に関する施策は、林業及び水産業との密接な関連性を有していることに鑑み、その振興に必要な配慮がなされるものとする。

(市の責務)

第4条 市は、第2条に定める基本理念にのっとり、食料、農業及び農村に関する基本的かつ総合的な施策を策定し実施するものとする。

2 市は、食料、農業及び農村に関する施策を講ずるときは、国及び県と連携するとともに、国及び県に対して施策の提言を積極的に行うよう努めるものとする。

3 市は、食料、農業及び農村に関する情報の提供等を通じて、基本理念に関する市民の理解を深めるよう努めるものとする。

4 市長は、第1項に規定する施策を総合的かつ計画的に推進するための体制の整備に関し、必要な措置を講ずるものとする。

(農業者の役割)

第5条 農業者は、自ら安全な食料の生産者であり、かつ、農村における地域づくりの主体であることを認識し、自ら生産する食料について積極的に情報を発信するとともに、安全で安心できる食料を安定的に生産及び供給し、農業及び農村の振興に関し主体的に取り組むよう努めるものとする。

(農業団体の役割)

第6条 農業団体は、食料、農業及び農村に関連する活動を行うに当っては、基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるとともに、市に対し食料、農業及び農村に関する施策を提言し、市が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

2 農業団体は、専ら農業を営む者及び経営意欲のある農業者が効率的かつ安定的な農業経営ができるよう生産、流通その他必要な施策を講ずるものとする。

(市民の役割)

第7条 市民は、食料、農業及び農村が日常生活に果たしている役割の重要性についての理解及び関心を深め、地域で生産される農畜産物を積極的に消費し、健康で豊かな食生活の実践に努めるものとする。

(事業者の役割)

第8条 食品産業の事業者は、食料、農業及び農村が日常生活に果たしている役割の重要性についての理解及び関心を深め、地域で生産された農畜産物を積極的に活用し、安全で安心できる食料の円滑かつ安定的な供給に努めるものとする。

(主要施策)

第9条 市は、第2条に定める基本理念にのっとり、次に掲げる事項を食料、農業及び農村の主要な施策として、施策相互の有機的な連携を図りつつ推進するものとする。

(1) 食料の安全及び安心の確保に必要な施策

(2) ブランドの確立、流通・消費の活性化に必要な施策

(3) 食育、食農教育・知識の普及に必要な施策

(4) 農業の自然環境機能の維持増進に必要な施策

(5) 食料自給率の向上に必要な施策

(6) 農業経営の安定に必要な施策

(7) 農業の担い手の育成及び確保に必要な施策

(8) 生産基盤及び優良農地の確保に必要な施策

(9) 女性農業者が持つ力の発揮に必要な施策

(10) 農産品等研究開発及び製品化の推進並びに農商工等連携に必要な施策

(11) 農業に関する団体等への支援及び連携に必要な施策

(12) 自然環境と共生する農村振興に必要な施策

(13) 定住と交流に必要な施策

(14) 中山間地域等への支援に必要な施策

(15) 地域資源利活用等による集落機能の維持活性化及び持続的自立的発展に必要な条件整備に必要な施策

2 前項に定める施策の推進については、市長が必要と認める場合は、隣接する地方公共団体と連携して推進するものとする。

(基本計画)

第10条 市長は、前条第1項に定める施策を総合的かつ計画的に推進するため、食料、農業及び農村基本計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。

2 市長は、基本計画を策定するときは、由利本荘市食料・農業・農村政策審議会の意見を聴くものとする。

3 市長は、基本計画を定めたときは、これを公表するものとする。

4 市長は、食料、農業及び農村を取り巻く情勢の変化を勘案し、必要があると認めるときは基本計画を変更するものとする。

5 第2項及び第3項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(実施状況の公表)

第11条 市長は、基本計画に基づく施策の実施状況について公表するものとする。

(設置)

第12条 食料、農業及び農村に関する重要な事項を調査審議するため、由利本荘市食料・農業・農村政策審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、食料、農業及び農村に関する重要な事項について、市長に意見を述べることができる。

3 前2項に定めるもののほか、審議会の運営に関し、必要な事項は、規則で定める。

(委任)

第13条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成23年4月1日から施行する。

由利本荘市食料・農業・農村基本条例

平成23年3月25日 条例第9号

(平成23年4月1日施行)